クラーク博士像はなぜ2つ?指差しポーズに隠された真相を徹底解説
北海道・札幌観光のシンボルとして誰もが思い浮かべる「クラーク博士像」。右手を高く掲げたあの有名な姿を一目見ようと現地を訪れる旅行者は後を絶ちません。しかし、札幌市内には性格の異なるクラーク博士像が2箇所に分かれて設置されているという事実をご存知でしょうか。
広大な牧草地を背にした全身像と、緑豊かな学舎にひっそりと佇む胸像。それぞれの像が誕生した背景には、北海道開拓の歴史と大学の環境保全をめぐる知られざるドラマが存在します。本稿では、有名な指差しポーズに込められた真のメッセージから、両スポットのアクセス・見どころの違いまで、現場取材の視点を交えて分かりやすく紐解きます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:「指差し全身像」はさっぽろ羊ヶ丘展望台にあり、北海道大学構内にあるのは歴史ある「胸像」である。
- 要点2:右手を掲げるポーズは特定の方角ではなく「遥か彼方にある永遠の真理・理想」を指し示している。
- 要点3:滞在わずか8ヶ月のクラーク博士が残した名言の精神は、現在も羊ヶ丘の「大志の誓い」投函などを通じて受け継がれている。
札幌に佇む2つのクラーク博士像|羊ヶ丘展望台と北大構内の決定的な違い
札幌観光を計画する際、最も多い勘違いが「北海道大学に行けば、あの指を差したクラーク博士像と一緒に写真が撮れる」という思い込みです。教科書や観光パンフレットで有名な「丘の上の立像」が立っているのは、札幌市豊平区にあるさっぽろ羊ヶ丘展望台であり、北海道大学(北大)キャンパス内にあるのは重厚な胸像です。
旅の目的や移動手段によって訪れるべき場所が大きく異なるため、まずは両者の基本仕様と特徴をデータで比較・整理しておきましょう。
| 比較項目 | さっぽろ羊ヶ丘展望台(丘の上のクラーク) | 北海道大学 構内(クラーク胸像) |
|---|---|---|
| 像の形態・制作者 | 全身立像(彫刻家・坂坦道 制作 / 1976年建立) | ブロンズ胸像(彫刻家・田嶼碩朗 制作 / 1926年建立・1948年再建) |
| 設置場所・アクセス | 札幌市豊平区羊ヶ丘1番地 地下鉄東豊線「福住駅」よりバス約10分 | 札幌市北区北8条西5丁目(古河記念講堂前) JR「札幌駅」北口より徒歩約7分 |
| 入場料(税込) | 大人 600円 / 小・中学生 300円(未就学児無料) | 無料(大学構内のため自由散策が可能) |
| 営業時間 | 9:00~17:00(季節やイベントにより変動あり) | 24時間立ち入り可能(夜間照明は控えめ) |
| 主な見どころ・体験 | 指差しポーズの記念撮影、「大志の誓い」投函、羊の放牧景観 | 歴史的建造物(古河講堂)、緑豊かなキャンパス散策、総合博物館 |

なぜ右手で彼方を指すのか?「指差しポーズ」に隠された驚きの真相
羊ヶ丘展望台のクラーク博士像といえば、右手を斜め前方にピンと伸ばした特徴的なシルエットが印象的です。「あの右手は何を指差しているのか?」「北海道の開拓地や札幌ドームの方角を指しているのか?」といった疑問がしばしば語られますが、その背景には彫刻家が込めた崇高な意図があります。
像を制作した彫刻家・坂坦道(さか たんどう)氏の遺した言葉や関係者資料によると、あのポーズは地理的な特定の場所を指しているのではなく、「遥か彼方にある永遠の真理に向かって大志を抱け」という抽象的かつ壮大な概念を視覚化したものです。
掲げられた右手は、目に見える現実の土地ではなく、若者たちが目指すべき高い理想と可能性を指し示しています。「Boys, be ambitious(少年よ、大志を抱け)」という不朽のメッセージを全身で体現したポーズだからこそ、半世紀近くにわたり多くの人々の心を捉え続けているのです。
【歴史と経歴】わずか8ヶ月の滞在が北海道の精神的支柱となった理由
ウィリアム・スミス・クラーク博士(William Smith Clark)は、アメリカ・マサチューセッツ農科大学の学長を務めていた教育者・農学者です。明治政府の強い招請を受け、1876年(明治9年)7月に開拓使が設立した札幌農学校(現在の北海道大学)の初代教頭として着任しました。
驚くべきことに、博士が実際に札幌の地に滞在したのはわずか8ヶ月余り(約250日)にすぎません。しかしその短い期間に、キリスト教精神に基づく「紳士たれ(Be gentleman)」の校風を植え付け、植物学や農学の近代教育を徹底しました。第一期生・第二期生からは内村鑑三や新渡戸稲造など、近代日本を代表する知識人が巣立っています。
1877年4月、任期を終えて帰国する博士が、見送りに集まった教え子たちと現在の北広島市・島松駅逓所で別れる際に馬上から放った言葉こそが、あの「Boys, be ambitious」でした。この名言と開拓スピリットを後世に伝えるため、創基50周年にあたる1926年に北大構内へ最初の胸像が建立されたのです。

一般に知られていない盲点|なぜ羊ヶ丘展望台に立像が作られたのか
では、なぜ大学から遠く離れた羊ヶ丘展望台に、もうひとつの巨大な立像が作られることになったのでしょうか。そこには昭和後期の札幌における観光ブームと大学の苦悩がありました。
1970年代に入り、北海道旅行の人気が過熱すると、北大構内のクラーク胸像を見ようと多数の観光バスやツアー客がキャンパス内に押し寄せる事態となりました。静穏な教育・研究環境が脅かされることを懸念した大学側は、観光バスの構内乗り入れ規制に踏み切ります。
「観光客が気兼ねなく訪れ、記念撮影を楽しめるシンボルが市内に必要だ」という市民や観光関係者の声を受け、札幌農学校創立100周年を迎えた1976年、札幌市街地と石狩平野を一望できる「北海道農業試験場(現在のさっぽろ羊ヶ丘展望台)」に現在の全身立像が建立されました。つまり、羊ヶ丘の像はキャンパスの静けさを守りつつ、観光客の期待に応えるために生まれた救世主だったと言えます。
現地取材で見えたリアル|写真撮影スポットの作法と「大志の誓い」投函体験
現地を訪れる観光客にとって、羊ヶ丘展望台のクラーク像前は外せない記念撮影スポットです。台座の横にはカメラ台が常設されており、像と同じように右手を斜め前に掲げてポーズを取るのが定番の撮影スタイルとなっています。
さらに注目したいのが、像の台座に設置されたポストへ投函する「大志の誓い」という独自の取り組みです。
現地で購入できる専用の用紙に自らの将来の夢や目標を書き込み、クラーク像の足元にある投入口へ投函すると、展望台の管理事務所にて大切に永久保存されます。数年後、あるいは数十年後に再び羊ヶ丘を訪れた際、当時の管理番号や氏名を提示すれば、過去に自分が書いた「誓い」と再会することができます。修学旅行生や新社会人、結婚記念に訪れたカップルが人生の節目に決意を刻む場として、SNS上でも深い感動を呼んでいます。

【プロの結論】旅程と目的で選ぶ!羊ヶ丘展望台と北大の訪問判断基準
限られた旅行日程の中でどちらを訪れるべきか迷った場合、以下の判断基準を参考に旅程を組み立てると失敗がありません。
【さっぽろ羊ヶ丘展望台が向いている人】
・おなじみの「指差しポーズ」で記念写真を撮りたい方
・北海道らしい広大な牧草地や羊の放牧風景、名物ジンギスカンを堪能したい方
・レンタカーや観光周遊バスを利用して郊外エリアを巡る予定の方
【北海道大学キャンパスが向いている人】
・札幌駅周辺を中心に徒歩や地下鉄で効率よく観光したい方
・歴史あるアカデミックな建造物(古河記念講堂や総合博物館)やポプラ並木を静かに歩きたい方
・入場料をかけず、本物の大学発祥の地で博士の遺徳に触れたい方
【クラーク 博士 像】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:クラーク博士像の前で写真を撮るのにベストな時間帯や混雑回避のコツは?
A1:羊ヶ丘展望台は午前中から昼過ぎにかけて観光バスが集中します。青空と順光で綺麗な写真を残したい場合は午前中の早い時間帯(9時〜10時台)または夕景が美しい閉園前の時間帯を狙うと、比較的混雑を避けて落ち着いて撮影できます。
Q2:車がない場合、羊ヶ丘展望台への一番スムーズな行き方は?
A2:札幌中心部から地下鉄東豊線に乗り、終点の「福住駅」で下車します。福住バスターミナルから中央バス(羊ヶ丘展望台行き)に乗車すれば、約10分で展望台敷地内に到着します。
Q3:北大構内のクラーク胸像は一般人でも自由に見学できますか?
A3:見学可能です。北海道大学のキャンパスは一般に広く開放されており、予約なしで構内を散策できます。ただし講義棟や研究施設への無断立ち入りは禁止されているため、マナーを守って見学しましょう。
まとめ:2026年の札幌観光で失敗しないクラーク博士像巡りの極意
札幌の地に立つ2つのクラーク博士像は、それぞれが異なる歴史的背景と役割を持っています。ダイナミックな景観の中で大志を誓う「羊ヶ丘展望台の立像」と、学問の府で静かに時代を見守り続ける「北海道大学の胸像」。
指差しポーズに込められた「遥かなる理想への導き」を理解した上で現地を訪れれば、旅の思い出はより深く鮮やかなものになるはずです。ご自身の観光スケジュールや旅の目的に合わせ、ぜひ最適なスポットへ足を運んでみてください。 (出典: クラーク 博士 像(Yahoo!ニュース))